デジカメとフィルムカメラの違う魅力

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ある寂れた商店街を歩いているとそこにポツリと居酒屋「ほっときな」と言う看板がある。私はそこの常連なのですが店にはカメラ大好きな人たちが集まり実に勝手な痴話話が展開しているのです。もしお時間がよろしければ貴方も一緒にどうですか?

「どうや最近。ずいぶん落ち着いてきたんやないか。そろそろワシの言うこと聞いてくれてもええんじゃろ?」
「そやね、最近いろいろがんばってるみたいだし」
「じゃろ。きっと神様が巡り会わせてくれたんじゃ」
「でも、ある程度はお金ためとかなあかんね。いるもんも色々でてくるやろし。」
「そうじゃのー。でも気持ちが一番大切じぇけーの」
「そやね。」

・・・・なんとしばらく二人を見ない内にとんでも無いことになっているようです。とは言えこりんちゃんももう三十路前ですからそろそろ。しかし相手があのへちゃむくれカッキンとは。抱きたくないタレントディフェンディングチャンピオン出川哲朗も結婚するこの御時世(←婚約デート番組を見て泣いた奴である)何が起こるかわかりません。ここはやはりあなたも一緒にこっそり盗み聞きといきましょう。


「カッキン」 本名は桂木 浩介
ニコンF5と大口径ズームレンズセットにオリンピック記念のプロストラップを付けこれでもかとばかりにいつも完全重武装なくせにいまだ初心者。最近はデジタル一眼レフD70を購入。現在大工28歳。
D70・・・2004年にニコンが発売したデジタル一眼レフ機。
F5・・・現在のニコン最高峰AFプロ用カメラ。最先端の技術を盛り込まれたサイボーグマシン?ボディのみで1210gにもなりEMの約3倍のうえ更に乾電池8本入る。


「こりん」 本名は小林 さおり
スラーっと伸びる脚線美と愛嬌たっぷりの笑顔が印象的で愛用のカメラはEMにAF単焦点35mm一本の割り切った撮影スタイルで活躍中。現在会社員OL29歳。
EM・・・ニコンの一眼レフ最軽量カメラ。1980年3月〜1985年まで「女性向け」にと開発販売され絞り変更のみAE機で小柄で460gの軽いカメラ。いくらF80Dが軽いと言っても515gの上にリチウム電池2本に比べEMはボタン電池2個の差は歴然。

分析

「善はいそげじゃ。決めよーや」
「でも今がいいんやろか・・・。もちょっと待ちたい気持ち半分なんやけどな。」
「何ゆーとるんじゃ。ワシの気持ちはとうの昔からきまっとるんじゃけー。」
「・・・何が?」
「何でもえーやないか、式はやっぱり和装がええのー。こりんの着物姿も見てみたいしのー。もうワクワクじゃ。で式いつにする?ワシにしっかりついてこいよ。」
 

どんがらガッシャーン

 
「何の話してん。なんであんたと結婚しんといけんの。」
「おまえとワシの仲やないかそろそろおまえも三十路ちかづい・・・」
 
どんがらガッシャーン
 
「いてってて。ほんじゃったら何の話じゃ思うとったんか」
「え?デジタル一眼レフの事やない」
「俺の気持ちもしらんと」
「あっワシから俺になった。かっこつけてたんでやんの。」
「あっそこかなり痛い。もう心身共にボロボロや」
「しらんよそんなこと。それよりデジタル一眼レフってえんやろか?」
「あたりまえじゃろ。その場でできあがりをチェック出来るんじゃけえ夢のカメラや」
「失敗しなきゃええやん」
「・・・フィルムいらんし現像しなくてもええんじぇけえ」
「してもらえばいいじゃん」
「・・・お金いるじゃん」
「デジカメもメディア買うのにお金いるんやろ。そのくせデーターしか残らへんやん。自分でプリントしよおもたらパソコンとプリンター無いと家でプリントできへん。そんならってメディアカメラ屋さんにもっていくんなら普通にフィルムをカメラ屋さん持って行ったと同じやない。だいたい私パソコンみたいなのチマチマようせんねん」
「・・・おまえ何人や。 今時パソコンつかえんやつなんて何もできんじゃろーが」
「だって私写真撮りたいだけなんやから」
「・・・・・・・とはいえEMなんかいつまで持つかわからんで。」
「デジカメみたいに複雑やないだけ長持ちしそうやけどな。」
「あーいやこー言う。とはいえやっぱりお口じゃ絶対女にはかなわん。
じゃあ太っ腹で俺の新車D70貸したる。つこーて物いってくれ。」
「あらあら強気な発言やね。でもちょっと興味あるから借りるね。」

さっそく彼女お店をでていっちゃいました。それにしても貸しちゃいましたよ・・・というより借りちゃいましたよ・・・こりんさん。確かこりんさんはEMしかいままで使った事ないはずでは。EMといえばピント合わせてシャッター押すだけの超簡単一眼レフカメラ。そんな彼女が多機能なD70なんてどうなるんでしょう。

 

 ここから 2004.5.22追加分です〜。

「使ってみたよこれ」
「それで・・・どうじゃった?」
「別に。」
「別にゆーてそりゃあないじゃろ。便利とか使いにくいとか何かあるじゃろ〜が〜」
「そうやね。でも使い勝手は「別に」やね。だってこれカメラやもん。」
「・・・」
「でもね、色々できるって事はわかったわ。ただ色々出来る分色々できんといかん訳やね。例えば撮った写真今まではカメラ屋さんもってって現像やプリントしてもろーてネガやポジで保存してきたやんか。それって適当に整理してわかようにしとけばいいだけやん。でもこのデジカメやとカメラ屋もっていって印刷しただけならネガもポジものこらへんやんか。原稿はやっぱり残したいねんな。」
「だったらCD化してもらえばいいじゃん」
「じゃあそれ何で見るの?」
「パソコン」

「パソコン出来へんとどうにもならんのやな」

「このIT時代にパソコンレスのほうが珍しいじゃろ」
「じゃあ聞くけどパソコンの画面と印刷した写真見比べたことある?」
「・・・え?」
「どう見たって印刷した写真の方が綺麗なんや。印刷物より原稿の方が質が下がるってのは気にくわない。」
「はぁ」

なんとそんな所に話が行くとは。因みにモニターの解像度は96dpi※が一般的です。最近では2880×1440dpi※ってプリンターがありますね。ただモニターの場合は32bit対応のモニターでは、2の24乗=256x256x256x256=1677万色発色出来るのにくらべプリンターは8色とか4色とかですのでそんなに解像度だけの差ではないのですが・・・。
※dpi[読みディーピーアイ]単位はドット・パー・インチの略号で1インチ(2.54cm)の巾にドット(点)が何個表示したり印刷したりできるかといった表現解像度の細かさの指標です。

「なにを言い始めると思ったらそんなことか」
「やっぱりゆるされへん。」
「でもフィルムなんか小さくって見られないじゃん。」
「ルーペがあるでしょ。」
「それでもパソコンで見た方がじゃ・・・ネガはどうすんの。」
「かっきんネガ見れないの?ピントチェックぐらいなら問題ないよ。」
「じゃあ色ってわかるか?」
「わかんない」
「だめじゃん。こりんはいちゃもんを付けたいだけじゃろ。」
「でも保存しているものの質って感じない?絵を描いたらカラーコピーは人にあげれても本物はあげれない。そんな所がなんや麻痺しそうでいやないんや。」
「わからんのーおまえの言うことは」
「だいたいデジタルカメラってデーターを作るだけやろ。パソコンさえありゃいくらでも変える事出来る所なんかあの手この手の詐欺師みたいじゃん。」
「その代わり何でもできるってことじゃろ」
「写真は真実を写してこそ写真なの。それに手を食われる事自他が・・・。ははぁん。そういうことか。」
「え?何じゃ?」
「デジタルカメラは絵を描く道具と思えばなんとなく許せる気がしてきた。」
「絵?」
「だってそうでしょ。自分の思うようにアレンジできるんだから絵を描くと思えばいろいろ楽しそうかも。」
「は?」
「もう。いくら話してもだめやね。また借りるねこれ。」

私はこりんさんの気持ちが何となくわかる気がします。本物=偽物になってしまう事がイヤに悔しい気持ちと。偽物で全てが終わることも少々悲しい事かもしれません。しかもデジタルのデーターは簡単に手を加えることが出来るからデジタルカメラの写真自体が偽物に思えてくるのかもしれません。ただこりんさんまた借りていっちゃいました。

-2004.4.13/5.22