居酒屋「ほっときな」

〜ニコンのAFとMFと・・・〜

ここは寂れた街にあるしがない居酒屋「ほっときな」。
私はここの店主であります。
この店はカメラのことを魚に酒を飲みに来る常連さんのお陰で私の暇つぶしにはもってこいの痴話桜がぽつぽつと花開いております。もしお暇ならあなたも私と一緒に聞き耳を立ててみませんか?

名機F3引退

先日ニコンがF3HPの正式衝撃引退宣言をしたこのご時世に世の中ニコンに於いてのマニュアルフォーカス(以下MF)ボディの長が現役を退く事は全てのカメラのMFシステムの終演を意味しオートフォーカス(以下AF)の新しい世代の幕開けなのかもしれませんね。
おやおやカウンターの端の方で大きな話声が聞こえます。どうやらニコン大好きの常連二人組が話してますね。どうやら話題はニコンのAFとMFについてみたいですね。さて早速そーっと聞き耳をたててみますかな。

おばかな二人

「ニコンからF3が消えるなんてショックだナー。MF機で残るはnFM2だけか〜。なんかここの所ニコンはMFからドンドン遠ざかっていきますね。」

「そおだな。でもAFの方が便利だろう?大概の場合ピント合わせなんか楽だし。MFでピント合わせ出来ない訳でもないし、なんか問題あるか?要は良い写真が撮れるかどうかで今まで不変のFマウントを守ってきたニコンがMFやめるっていってなら(言ってない)本当にニコンが好きなら今売ってるAF機買えばいいだろ。」

「そうは言うけど本来のニコンの魅力ってボディを含めたMFシステム自体にあった気がするんですよねー。だからマウントだって変えないでやってきたんじゃないですか。特にF3なんかの金属ボディが放つ存在感は格別だったしあのころのニコンのカメラには信頼性とか耐久性とか色々な意味での"剛"の意味があった様な気がするんだけどなあ。」

「なんか勘違いしてるだろ。聞いてるとニコンの金属製カメラに魅力があるだけに聞こえるぞ。それだけなら他のメーカーだって過去にだしてるだろ。それに別に違った写真が撮れる訳でもないしましてや信頼感?そんなのプロ用カメラとしては必須項目かもしれないが本当におまえは(只のカメラ好き)にそんな耐久性必要なのか?壊れりゃボディだけでも買い替えればそれでいいだろ。部品の維持期間を気にしながらニコンのサービスに頼っているより遙かに現実的だろ。間違ってもカタログ上スペックがF3に見劣りするようなカメラは現行のカメラには無いだろう。」

「確かに金属ボディの魅力はすんごく感じますよ。でもでも何か撮っているときにMFで自分のペースでファインダー像のピントがあっていくタイミングとシャッターを押すタイミング計りながらの撮影が妙に心地良くて自分のペースで撮影出来るのは結構大切だと思うんすよ。AFレンズのすこすこっとしたピントリングには無い大きな魅力を感じるのは俺だけなのかナ〜?」

「そりゃ確かにニコンのAFレンズの感触はMFで使用するには誉められた物じゃないと思うけど、だいたいF4はF3にAFやモータードライブを組み込んだ結果の決定的なニコンとしての表現だろう。その上新しい技術と操作系を取り入れF5が完成してるんだからAFについての信頼性は今や折り紙付きと言っていいばずだ。無理にMFにこだわらくてもいい。
それより未だFマウントも代えずAFに対応させたニコンを誉めるべきじゃないか。
ニコンがMFレンズ達を切り捨てる訳じゃなく単にMFシステムが一般の使用者の時代の流れでカメラメーカーとしての商品にならなくなったんだからしょうがないだろ。」

「ニコンはAFで行くなら他社に負けない販売戦力があるのかな?
ニコンはこれからAFで最先端技術AFのC社やAFのパイオニアM社に真っ向から喧嘩を売るつもりなのかな。それってなんか違うくないですか?」

「う〜ん。」

「もしかしたらニコンも他のメーカーに負けないような武器があるのかな?」

「少なくともカタログ上は無いだろ。宣伝も下手だから他社には勝てないだろうし。F80は成功したみたいだけどあくまでハイアマチュアにであって一般のお父さん向けの初級者用カメラは別。ニコンはこの手のカメラ下手だからな。」

「じゃあ今までのニコンのブランドを振りかざしてみては?」

「それも無理だろうね。だって例えば寺や神社などの伝統建築物を手がける宮大工さん達が今の普通の家造ったって決して良い物造るとは言えないだろ。ロボット生産してる車や電気製品に職人と呼ばれる人の手が入ってもコストがかかるだけで生産性すら落ちるだろうし。そんなことはみんなすぐ気付くはずだよ。そんなことしてるとニコンの様に今まで信頼性で売ってきたメーカーには大打撃になるだろうね。」

「じゃあこんなのどうですか?信頼性ある今までのニコンを残しつつAF技術を盛り込むんですよ。具体的に言うとMFレンズでAF操作出来るボディの開発です。そうなりゃ今のMFレンズに生存価値が生まれその上にMFシステムを排他的に扱う必要が無くなるでしょう。」

「どうしてもMFレンズ残したいみたいだな。まあいいとしてなかなか良いアイディアだな。しかしそれはF3AFみたいなこと言ってるのか?」

「えっ。何ですかそれは・・・ふむふむこんなのがあったんですか。格好いい。じゃなくて!私が言いたいのはMFレンズでAF撮影出来るカメラボディですよ。こいつ(F3AF)の使えるのは結局AFレンズじゃないですか。MFレンズ専用AFボディと言う意味ですよ。そうすれば無駄(?)にニコンはAFレンズのラインナップを揃えなくてもMFレンズだけつくってりゃどのカメラでも使えるでしょう。」

「ほう。では何かシャッターとレンズの間に何かはせてそれでピント調節するのか?そんなんじゃ光学的に不利だし生産性だって上がらないしコストに跳ね返ってくるぞ。どうやってそれをするんだ?」

「後はニコンさんの知恵と技術の結晶により・・・」

「おい!肝心な所から他人任せか!ちょっとでも期待した私がバカだった。そんなんならドラ○もん造ってくれと頼んでいるの一緒じゃねーか。」

「やっぱりMFシステムは消えて行くんですかね〜。AFに関しての特許をC社から買うわけにもいかないだろうし。それならニコン独自の新しいフォーカス方式を考えればどうですか。」

「どんな?」

「眼球角膜測定フォーカス「Eyeball Focus」略してEF!それとかC社が手ぶれ補正レンズならこっちはカメラボディに制動スタビライザーかなんか付けてカメラ自体をぶれないようにするんですよ。」

「作れるのかそんな物」

「しりません。」

「・・・・言いたいことはそれだけか。」

「はい。」

「歯を食いしばれ」

「えっ」

ばきいいい

またのおこしを・・

おやおやお二人さん大夫入れ込んでるみたいですね。
えっ私はどうかって。確かに良い物はそう言う時代がくれば必ず認められるでしょうし、万人に認められない今の時代は当分私は中古屋さんめぐりでもしてゆっくり待ってみることにしますよ。

皆さんはどう思われますか?
えっお客さんお帰りですか?またのおいでお待ちしておりますね。では今回はこの辺で。

-2000.9.14